※ この記事は「私の読み聞かせと多読(その1)がんばって読書していた頃」の続きです。
2.がんばらないで愉しめるから続けてしまった
次はなにを読もうかな?
『The Wonderful Wizard of Oz』を “がんばって” 読むのを諦めたとき、次もペーパーバックを読んだら同じことの繰り返しになる、と怖くなり、
「眠くなる前に読み終えられる本を読もう!」
と心に決めました。
寝ずに読み終えられそうな英語の本は、絵本くらいしか思い当たりません。
こうして、わたしは英語絵本を読み始めました。
そのときは、しばらくの間、絵本に逃げて、またペーパーバックを読もう、という気持ちでいました。
というのも、「読める!」とほぼ確信していた本を読み終えられなかったことで、私はとても傷ついていたものですから・・・。続けざまにペーパーバックに手を出す勇気はありませんでした。
ところが。
ペーパーバックの呪縛から解き放たれたからでしょうか。
とにかく、絵本は
- 読みやすい!!
- 愉しい!!
- ラク!!
- いっこうに眠くならない!!
あまりの愉しさとラクさに気を良くし、その後は英語絵本をひたすらに読み続けました。むしろ英語絵本以外の本を読む気にもなれませんでした。
3.読み方が変わった
絵が動く!
最初こそ“さらさらと”英語絵本を読んでいたのですが、でもそのうちに、絵をよく見るようになりました。
字が少なすぎて、他にすることがなかったからかもしれませんね。
するとどうしたことでしょう。
文を読んだだけでは感じられなかったことが“感じられる”ようになりました。
絵本の世界が映画を観ているかのように動き出したのです。
登場するキャラクタの表情は生き生きとしているし、声も聞こえてくるし、動いても見えるようになっていったのです。
作者が伝えたいことがより鮮明に感じられるようになりました。
しかもそれだけでなく、メインストリーム(物語のあらすじ)とは異なるストーリーが絵の中に描かれていることに気づきはじめ・・・ゲームでいうところの「やりこみ要素」を見つけることにハマり出しました。
そして、絵本の画をすみからすみまで堪能するようになり、ますます、英文の行間、頁と頁の間の“流れ”も感じられるようになりました。
私の拙いボキャブラリではこの感触をどう表現したらよいのかわかりませんが、良質な本には“流れ”があり、それを無意識に感じ取れるようになっていったんだと思います。
これは、私だけでなく、生徒や多読している先生の中にも同じようなことを言う人がいるので、当たらずといえども遠からずではないでしょうか。
また、ある中学生は、
「教室に通い始めてから絵本を“深読み”するようになった」
と言っていました。
いずれにしても、私は、1冊の絵本を、時間をかけて読むようになっていきました。
※ 「早く読めるほうがよい」「どんどん語数の多い本へ移行するのが良い」という多読の常識とは逆行しています
呪縛からの解放
どんどん英語絵本にのめりこんでいったある日、(ペーパーバックを読まなくなってから1、2年くらい経っていたと思います)
「今ならペーパーバックを読めるかもしれない。」
となぜか思ったのです。
そして、あの『The Wonderful Wizard of Oz』を再び手に取りました。
すると不思議なことが起きました。
数年前に途中で諦めたその本を、なんと、3-4時間で読了してしまったではありませんか!
ちなみに、この本は、約4万語、24章の構成、約140ページの、挿絵のあるペーパーバックです。
もちろん、挿絵はじっくり堪能しました。
なんといっても、絵をすみからすみまで見ることがもう癖になっていましたので、挿絵を観ずにはいられませんでした。
読書中、なんの無理もしていません。“がんばらない” で読了しました。
それだけでなく、まるで絵本を読むときと同じように、文章を読むと、場面や登場人物たちの表情や気持ちを、自分の五感で感じ、頭の中でイメージできるようになっていたのです。
「おもしろい!」と2年前に思っていた時の感覚とは全く別の感覚でした。
本の中に自分が入り込んでいる(自分を放り込んでいる?)ような感じです。
物語を外から俯瞰して見ている「おもしろい」とは明らかに異なる「愉しさ」でした。
これには自分でもとても驚きました。
「は?なにこれ?
あの2か月はなんだったの???
いや待てよ、これは何かの間違いかもしれない。」
まだ半信半疑だった私は、次もペーパーバックを読んでみました。
こんどはもっと分厚く、挿絵の無い本でした。
読みやすい、と評判でしたが、それでも10万語の本でした。
この本を、こんどは、8時間くらいで読み終えてしまったのです。
しかも、あろうことか、文字どおり、
寝る間も惜しんで!読んでしまったのです。
そうなんです。
私はお布団の中で、先が気になって気になって眠ることができず、読み切ってしまったんです!
これまで、ペーパーバックは睡眠薬だったのに、なぜ!?
4.多読も読み聞かせも読書
多読は読書
いったい自分の身に何が起きたのか?
今でもわかりません。
思い当たることといえば、1,2年間、英語絵本を愉しんだことだけでした。
それだけで、海外で暮らしても、英語の文献をたくさん読んでも、なし得なかったことができるようになったのです。
ただ、よくよく考えてみると、
本の読み方が変わった、という実感はありました。
さらに、
本の難易度(厚みや絵の有無)に関係なく、
「この本、愉しい!」と感じられるのだ、と気づきました。
もうまるで日本語の読書と何ら変わりません。
そう、
多読は読書なんです。
そんな単純なことだった!
と気づいた瞬間でした。
それ以降、すでに英語絵本の奥深さに魅了されていた私は、主に英語絵本を読む、ときどき気が向いたらペーパーバックを読む、という多読スタイルに変わりました。
そして、このできごとが、私の読み聞かせを「しあわせな読み聞かせ」へと導いていき、多読に対する考え方も変えてしまいました。
もう私の中では、“語数の多い本が読める”イコール “多読”ではありません。
絵本だろうがペーパーバックだろうが、無理せずに愉しめるものを読む。
ただそれを続けること。
それが多読です。
がんばらない多読です。
そして、日本語の本の読書にゴールが無いように
がんばらない多読にもゴールはありません。
前に読めなかった日本語の本が、あるとき読めるようになるのと同じように
がんばらない多読を続けるうちに
いつか “そのとき”(読めるようになるとき)がくる、
ただそれだけのことなんです。
読み聞かせも読書
しあわせな読み聞かせをたくさんしてもらったら、それは、がんばらない多読になる、と私は考えています。
なぜなら、
誰かに読んでもらわなければならないとはいえ、
聞き手が無理せずに本を愉しく読む
のがしあわせな読み聞かせなのですから。
すなわち、私の中では
「英語絵本のしあわせな読み聞かせ」も「がんばらない多読」で「読書」なのです。
以上、長文の自己紹介をお読みいただきましてありがとうございます。
本記事は
読み聞かせ&多読
Group メンバー
の自己紹介です
文:鈴木祐子(きっぱ)
東京
ABC4YOU自由が丘
多読・英語読み聞かせ教室
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