ありえないから面白い

こんにちは、川崎市からToyokoです。リレーブログだからというわけではありませんが、メンバーの記事を読んでいると自分に起きている事と、どうしても重ねてしまいます。
中でもお気に入りの絵本の話題は楽しいですね。新しい発見にワクワクしたり、共感に癒されたり、話も弾みます。


あるわけないじゃん
私の愛読書のひとつに、"DUCK ON A BIKE" (by David Shannon)があります。教室の生徒にはもちろん、イベントや小学校でもあちこちで読み聞かせをしてきました。

いろいろな反応があるわけですが、意外とよく聞くのが、

「だいたいアヒルが自転車に乗るわけないじゃん。」

夢も希望もない(苦笑)

表紙で、DUCKが自分には大きすぎる子供用の自転車のサドルに届かずに車体のバーのところにまたがって、それでも楽しそうにしている絵があるのですが、それを見せながら「サドルにも届いてないのに乗ってるよ、どんだけ乗りたかったんだろうね」と私が投げかけときの反応です。

このお話、動物たちが人間の子供の自転車を乗り回す話なので、最初に「そもそも動物は自転車に乗らないよ」と言われてしまうと、いやー、つらい。
こちらとしては「これ面白いよね!」とハイテンションなのに「そんなことは実際ないんだから」と冷めた視線が突き刺さります。

ところが、David Shannonさんの見事な絵とお話のおかげで、結局子供たちは絵本に釘付けになり、そんなことは実際ありえないと心で思っていても何だか面白くなってきて、次は何が出てくるのかと期待せずにはいられない様子。あんなに冷めた目で見ていた子も「結局乗ってるじゃーん!」と声を上げます。

私は、「最初から素直に楽しめば良いものを」と内心してやったり。

そして、人間が誰も気づかないうちに動物たちは自転車を散々乗り回して、その自転車はすべて何もなかったように元あった場所へ戻されます。


現実と非現実
絵本には非現実的な場面がたびたび出てきますが、だからこそ面白いとおおかたの人は思うし、本の中なら心が現実ではいけないところにまで行けることも知っています。その子たちもそのうちそう思うでしょう。思わないかもしれないけど。

とにかく、絵本には好奇心や冒険心を誘う[窓]があって、現実にはありえないと思い込んでいたのに、それを覆してくれる世界が覗けます。

いやいや、現実の世界にだって自分が気づかないだけで、はたまた知らないだけで、ビックリするような出来事が起きています、社会的にも科学的にも。

ちょうど先日、福島市のUFO研究所なるところが目撃情報を公に募り、それを分析・研究するという記事を新聞で読みました。米国の防衛上の事情とは違い、こちらは町おこしの策らしいのですが、これまで目撃談を一蹴され悔しい思いをした人たちが心に浮かびました。

絵本を読み聞かせているときに「そんなことあるわけないんだから」と言われた時の私の気持ちとちょっと似てるからでしょうか。この研究所の成果がそういう人たちの名誉回復の一端を担うものになることを願っています。

多くの「研究」と言われるものは成果が日の目を見るまでが地味で長くてときに辛い。でも、そういった、一見「ありえない」ことを真面目に受けとめて探究することが人類未踏の大発見に繋がるわけで。

そんな貴重な大発見を逃さないためにも、つい思い込んでしまっているあの子たちにこそ、絵本の[窓]をどんどん覗いて欲しいと思います。

だから私も、
読み聞かせを続けます。冷たい視線に負けじと(笑)

文:Toyoko Hayashi 
神奈川県 川崎市

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