はじめまして、札幌の魚住です。
個人で小さな英語教室を主宰して25年になります。
多読との出会い
私が「多読」というものの存在を知ったのは2006年、翌年から自分の教室でも易しい本を少しずつ揃え始めました。準備にあたって私自身も全ての本を読みました。あくまでも子ども達のためにと思って揃えた文字がわずかしかない易しい本を次から次へと眺めながら、私はかつて経験したことのない感覚を味わい、静かなショックを受けていました。
私、今まで、こんな大事なことをしてこなかったんだ...。
読み聞かせ会との出会い
遡ること数年、2003年から我が家の本棚には英語の絵本が集まり始めていました。
札幌市中央図書館を拠点に「大人のための 英語の絵本読み聞かせ会」を開催しているボランティアグループに入会したことがきっかけでした。読み聞かせ会では、毎月1回、5〜6冊の絵本の読み聞かせと、関連するマザーグースの歌などを通して、20〜30名のお客様と一緒に英語の絵本の世界を楽しみます。
1時間の読み聞かせ会の間、お客様はにこにこしたりはらはらしたりしながら聞いてくれます。終了後にはメンバーとの交流もあり、質問してくれる方、感想を言ってくれる方もいます。中には「とっても幸せで、聞きながらうとうとしちゃいました♡」という方も。それはそれでこちらも幸せです(笑)
入会当初は読み手として担当する絵本は図書館で借りていましたが、しだいに自分で買って持っていたいと思うようになっていきました。何度も何度も声に出して読む練習をしながら、そして絵を隅々まで楽しみながら、私はどんどん英語の絵本の魅力に取り憑かれていきました。そして、我が家の本棚にはいつしかたくさんの絵本が並ぶようになりました。
いつの間にか自分の中に
多読に初めて出会い、教室で取り入れ始めた頃、私はそれまで易しい英語の本は読んでこなかったと思い込んでいました。読み聞かせ会で読むための絵本は人前で披露するために練習したり準備したりするせいか、違う視点で見ていたのだと思います。教室には「多読」のための本棚と、読み聞かせ会で読むための絵本の本棚がありましたが、私の中ではまったく別物のような気がして結びついていませんでした。
もともと(日本語でも)読書が苦手だった私は、英語の厚い本にはなかなか手が出ませんでしたが、そのおかげで子ども達と一緒に易しい本ばかり読み続けていました。一方、図書館での読み聞かせ会の活動も無理なく楽しく続けていました。
そして何年か経ったある時、ふと、「多読」し続けてきた易しい本と、趣味として読み続けてきた英語の絵本が、分け隔てなく自分の中でつながり、いつの間にか溶け合っていることに気がつきました。知らないうちに得をしたような、大発見をしたような、不思議な喜びが込み上げてきたのを覚えています。
私、ずっと前から「がんばらない多読」をしていたのかも!
多読らしさということ
教室では、小学生のクラスでは他の教材を軸にしているため1〜2冊の読み聞かせのみ、中高生のクラスでは授業中にCDなどを聴きながら各自で読む時間を作っています。どちらも時間は限られていますが、子ども達にとって本を読むことは勉強ではなく、読書です。早く来た小学生が本棚から引っ張り出した絵本を読んで笑っていたりしますし、高校生がお互いに読み聞かせをしたり、一緒に1冊の絵本を開いてイヤフォンを片耳ずつに入れて楽しそうに読んでいることもあります。「これおもしろいよ!」と勧め合う声はどのクラスでも聞こえてきます。
私にとっては、1回にかける時間の長さよりも、がんばらずに長く続くことが「多読らしさ」です。
2017年度からは大人のための多読クラスもできました。メンバーの中にはうちに来ている小中学生の保護者の方達も。本を一番借りて行ってくれるのはこのクラスです。そして、教室に来た時はただただブックトーク(とお菓子とおしゃべり)で盛り上がっています。
決めないということ
私は、ルールや目標をはっきり決めるのが苦手です。英語の学び方も、読書も同じです。これの次はこれとか、こうやって読まなくてはいけないとか、いつまでにどうならなければいけないとか、決める必要はないと思っています。自分にとってそうであるように、うちの教室に来てくれている一人一人に対してもそうありたいと思っています。
決めないぶん、私にはみんなの表情がよく見え、声やおしゃべりがよく聞こえるような気がします。そして、それらすべてが、「こんな本もあるよ」「こうしてみたら?」と提案するための大切なヒントになります。
これが、いつの間にかここまできていた私にできる、私らしいサポートだと思っています。
誰もがしあわせに、そしてがんばらずに英語の本を楽しめるように。
本記事は
読み聞かせ&多読
Groupメンバー
の自己紹介です
文 : Kumiko Uozumi(アッポ)
北海道 札幌
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