おしゃべりな「読み聞かせ会」へ

こんにちは。

「超ゆるゆる多読」実践中、アッポこと札幌の魚住です。


札幌で「大人のための英語の絵本読み聞かせ会」というイベントを22年やっている、おおきな木というサークルの代表をしています。

代表と言っても3代目で、設立当初のことはよくわかりません。図書館を拠点とする、しかも「大人」「絵本」「英語」という珍しい取り組みですし、きっと、ものすごいエネルギーを費やしてこの会を立ち上げたことでしょう。今でもこうして読み聞かせ会が続けられているのは、初期のメンバーが活動の土台を築いてくれたからだなぁとしみじみ思います。



変えてきたこと
 

と同時に、変わってきたこと、変えてきたこともたくさんあります。

その一つは、読む前に日本語でたっぷりと解説するようになったこと。

絵本の面白さの一つは、何度読んでも、隅から隅まで絵を見ても、毎回気づきがあるということ。でも、ほとんどのお客様にとっては初見です。いくら「絵を隅々まで見て…」と言っても限界がありますし、大人ですから、英語を聞き漏らさないようにしようとか、字を目で追おうとしてしまいます。

そこで、気楽に絵に目が向くように、読む前に大方のあらすじは話してしまいますし、絵の見どころ、作者や作品の背景などをお話しすることもあります。パワーポイントを使うこともあれば、小道具が登場することもあります。ただの解説にならないよう、絵本がより面白くなるように工夫しています。


それでも、ずっと気になっていた感想がありました。毎回のように、耳にする言葉。



「オチがわからなかった」
 

「前トーク」をたっぷり…とは言っても、たいていはオチまでは言いません。読み終わった後は、余韻を大切にしたい気持ちもあり、「余計なことは言わない」という長年の伝統(?)もありました。でも、最後のページに書かれていることが絵だけではわからない場合が多いのも事実。お客様の中に残ったもやもやが漂います。

コロナ前は、オリジナルの英語絵本と翻訳本並べて展示し、終わった後に実際に手に取ってもらったり、メンバーが質問に答えたりする交流の時間を取っていました。残ってくれた方とは、「そういうことね〜」とお話しするのも楽しいものでした。「オチ」問題もそこで解決されることもありました。

ところが、コロナ禍では、展示もやめ、おしゃべりの時間も積極的には取れず・・・


 
おしゃべりを目指して
 

今年9月、メンバーに急な欠席があり、プログラムの本を1冊読めなくなりました。その時間を有効利用すべく、ある絵本を読んだ後に、「おまけの深掘りタイム」的にあれこれお話ししたところ、より深く楽しめたと好評をいただけました。

絵本は、たまたま、その後Willy-Nilly第1回でも取り上げた、”Rosie’s Walk”です。

オチがわかりにくい絵本ではありませんが、あっと言う間に終わってしまう絵本なので、読み終わった後に、もう一度戻ってページをめくりながらお客様と「深掘り」や「そういうことね〜」を共有。練習中にメンバーが「おもしろい!」「どうして?」「調べてみたらこうだった」など、せっかく得た情報をお客様にシェアしないのはもったいないという、シンプルな発想でした。

それ以来、読み終わった後に、オチも含めて、たとえ一言でも「後トーク」をしています。やってみるとむしろ自然です。大きく肯いてくれたり、「あ〜」という声が聞こえたり。


4月に再開して以来、嬉しいことに入場者数がどんどん増えています。リピーターさんが増え続けていることもわかりました。

とにかく安心して来てもらえる場にすることに一生懸命だったこの一年。以前のように本当におしゃべりを楽しめるようになるまでもう少し時間はかかりそうですが、まるでおしゃべりしているような読み聞かせ会を目指して、できることはたくさんありそうです。

一方向の「読み聞かせ会」という形式だからこそ、通い合うものを大切にして、これからも躊躇せずに変わっていきたいと思っています。


今年一年、読んでくださりありがとうございました。

皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。


文 : Kumiko Uozumi(アッポ)

北海道 札幌


しあわせな読み聞かせ がんばらない多読

しあわせな絵本の読み聞かせからがんばらない多読へ... 経験豊富な全国各地の先生たち 「読み聞かせ多読 グループ」が発信します #読み聞かせ #多読

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