読み方いろいろ

 オホーツクの新井先生からバトンを受けて、私も子どもたちの様子をお伝えしようと思います。私の教室の多読は全体の3分の1ほど時間を取って、他のアクティビティと組み合わせてやっています。そんな"子ども英語教室の絵本多読の様子" を子どもたちとのやり取りで私が感じたままに思い返してみました。

 ORT Stage1からスタートしてそのまま行けた子たち、途中でProject X CODEに鞍替えした子たち、両方だめだった子たち、さまざまですがどの子も多読のときに英語の意味を聞いてくることはありません。千差万別、多彩な子どもたちをタイプ別に書き出してみました。

タイプその1 ϵ( 'Θ' )϶
 まずは英語に自発的な興味を持つタイプで、推測した英語の意味が当たると嬉々として満足げな表情を見せる。

 CODEは、自らイントロダクション動画を丁寧に見た上でストーリーのイメージを膨らませてこの長編に挑んだ。

 英語そのものに興味が向くので聞き覚えのある単語に度々お目にかかるらしく、絵で場面を読み解きながら単語のイメージを上手く言語化する。やり取りの中で、「これ、この英語、なんか聞いたことある、だいたいこんな感じでしょ?」と言われ、「イメージ出来てるわ、これ。。。」と思うことも度々。

 ところが、そのセンサーが全く働かなくなることもあるようで、多読以外の場面だと知っている日本語訳に足を取られ沼にハマることがある。しかし、CODE Level9まで興味が途切れることはなく読み進んでいるということは、多読中に足をとられた英語などさっさと見なかったことにしているのか。そこは上手にやり過ごす術を知っているようである。


タイプその2 (๑˃̵ᴗ˂̵)
 さて、小学生の場合、上の子のように自発的に英語に興味を持つタイプなどそうそういないもので、お次は文字の読み書き自体があまり得意ではない子のお話。

 日本語で"書く"読後コメント欄は残念ながらスカスカ。英語を"読んで"発音するフォニックスワークはといえば、だいたいが苦しそうである。

 ところが、耳コピの英語では素晴らしいネイティブ発音とイントネーションを披露する。チャンツは耳コピ丸覚え。だから長いチャンツになると苦しくなるのだが、シャドウイングはCODE  Level9になっても絵を眺めながらそれっぽく出来ている。

 文字は全く見ていない。ほぼ無意識に口が動いているだけなので英語などほとんど気にも留めていない様子。シャドウイングをする間、ページを前後に行ったり来たり、何やら絵を見比べているのか?ときには本のページすらめくらずコメント用紙に熱心に挿絵を創作中。まるで鼻歌のようにシャドウイングは続けている。ちゃんと読んでるのかなあ。。。

 しかし、一冊終えるごとに素晴らしい想像力と勝手な解釈で見事にストーリーを解説してみせるのである。その子によると、黒幕はMacro Marvel でMiniは彼が作ったアンドロイドらしい。様々な場面に出てくるこの登場人物の表情から読み取って、そうに違いないとニヤニヤしながら言う。他にも絵をじっくり見ていないと気付かないようなところにツッコミを入れてくる。なんだ、ちゃんと読んでるんだ。。。


タイプその3   (ᵔᴥᵔ)
 そして、もう一人Macro Marvel黒幕説を主張する子がいる。

 こちらは、タスクを着々とこなすタイプで、フォニックスワークでは難しいチャンツもできるまで黙々と練習をする。積み重ねを怠らないせいかちゃんと文字が読めるので、長いチャンツも文字をチラ見しながら上手に言える。

 多読中のシャドウイングも怠けず淡々とやっている。ORT4あたりから文字を隠してのシャドウイングが言いづらそうだったので聞いてみると、この子は絵と文字を行ったり来たりしてシャドウイングをしているらしい。発音も素直に身についているので英語らしい。

 絵本も黙々と読んでいる。飽きているのではないかとこちらは心配になるが、日本語のコメントでは、登場人物の気持ちを汲んでけっこう良いところをついてくる。だからこの子のMacro Marvel黒幕説はちゃんと彼なりに味わっている証拠だと思いたい。

 しかし、Level9の英語などほとんどわかっちゃいない、はず。。。?


タイプその4 ʕ•ᴥ•ʔ
 「この難しい英語がわかっているのか?」で思い当たるのが次の子。

 ORT KipperシリーズがStage3に入る辺りから、あの“ほのぼの感"に飽きてきた。本がつまらなそうだったので、私が逃げ道を探してCODEに切り替えたのだが、見事にハマってくれた。ラッキー。英語なんか気にせずに「絵」を見て想像力で読み進む。

 もともと耳のいい子でフォニックスワークは耳コピで順調に進んで来たのだが、その練習は、一切声を出さない。だまーってCDを何回も何回も聴いた後、今度はCDなしでもちゃんと文字を指しながら、素晴らしく滑らかできれいな英語が口から出てくる。

 「声出したほうがいいいよ」と何度か説明したが、どうもやりづらいようで、だんだん言わなくなる。まあいいか、出来ているのだから。

 多読のシャドウイングも始めはやろうと試みるも、気付くと無言でCDに耳を傾けて、ジーっと本を見ている。Levelが上がるにつれストーリーは佳境に入りドキドキする場面や、なんでこうなるの?という場面が多くなるせいか、英語はわかっていないはずなのにやけにテンションが上がって来て、「あーー、早く次読みたい。これって絶対こういうことだと思う。ほらこの絵、見て見て」と持論を展開し始めるのである。「英語わかるの?」と試しに聞くと「うん。だいたい分かる。」。。。いやいやいや、分かってないところの方が多いと思うんだよなー。

 このCODEには日本の学校英語では出会わない英単語がよく現れるので、私でも「へーぇ、こう言うのね」と思うことが少なくない。ま、そんなこともどうでもいいか、本人は楽しそうだし。

 実はCODE Level 9まで終えたこの子は、自分からKipperシリーズのStage2とSnapdragonsや Fireflies シリーズに戻って読み直している。そうしたところ、当初コメント欄はスカスカだったのに今ではビッシリと言いたいことで埋め尽くされているのである。なんとまあ。


タイプその5   (╹◡╹)
 最後に、ORTにもCODEにも気持ちが入らなかった子。

 この子は和書をたくさん読む習慣があって本が大好き、そして実に物知りなのである。その子がORTの易しいストーリーを「つまらない」と言って、感想や疑問、気づきもほとんど出なくなってしまった。Stage5以上になるとストーリーには厚みが出るものの英語のレベルも上がってくるので、絵を読む感覚がないままではオススメできない。

 和書を読むとき、読書家であるその子は文字から情報を取って想像を膨らませているわけで、どうしてもそれと同じアプローチで英語絵本を読もうとすると「わからない→つまらない」のである。和書をたくさん読むので、文字からのインプットの方が想像力がはたらくようになっているのではないかと思ってしまう。基本にかえり、"絵の読み方"を提案して話を深めようと試みるも。。。イマイチ。

 母語は自在に言葉の行間を汲み取れるので、文字からでも想像を膨らませることが出来るのだが、外国語は言葉にそれほどの経験も知識もないので文字には頼れないし、かといって絵からでは想像力のスイッチがうまく入らない、きっとそんな状態ではなかろうか。このケースが私に取ってはいちばん悩ましい。ああ、どう助け舟を出そうか。。。

 。。とそんな心配をよそにいつのまにか自分で、Disney Read alongを読み進めていた。語数がかなり多いので「大丈夫か?」と心配になったが、ストーリー自体は知っているらしい。コメント欄には「いい話だ」とある。

 以前に出会った物語を回想しながら耳からはきれいな英語が流れてくる、そんな時間があってもいいじゃないか、と思わせてくれた。

 この子たちを見ていると結局のところ、「英語なんか気にしないで読む、楽しけりゃいいんです」なのか?

 いやいや、気にして欲しいなあ、正直言って私としては。。。ʅ(◞‿◟)ʃ

 でも今じゃなくていいです。今はこのまま行きましょう。ただ中学生になって学校で英語を習うようになったら「あ、そっかー」と思って欲しいなあ。

 それがいつか「ああ!そうだったんだ!!」となるような火種を灯すのが、今の私の役割なのかな。。。

                     文:Toyoko Hayashi
                      神奈川県 川崎市

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