Jess と Floppy

 コロナ感染への緊急事態宣言が発令される少し前の2月から、愛犬が体調を崩し始めた。身体が震え、触れると痛がり、リードの付け外しにも過敏に反応し、何度も本気で噛まれた。激痛に耐える愛犬を主治医に診せるも原因が分からず、病院を変えて治療を続けていたが、6月半ば、あっという間に逝ってしまった。時期を同じくして、癌で闘病中だった義父も旅立った。3年前から毎年、父、母、愛犬、義父と身近な人が次々とこの世を去っている。愛する人の死が読書にも影響していることを、今日は綴ってみたい。
 
 2017年7月、父が亡くなった。脳梗塞を患い、言葉を失った3年間は父にとっても家族にとっても辛い時期だった。最初は筆談も試みたが、筋力も弱りそれも叶わず、意思の疎通が難しかった。何か伝えたい事、望む事があったのではと思う日々を過ごしていた時、ふと Eric Carle のDraw Me a Star の本を手に取っていた。大好きな絵本なので、教室でも何度も読んでいる。Ericさんが亡きお父様へ捧げるために書かれた本であることも、もちろん知っていた。
 父を亡くして、再度本を開けた瞬間に父の顔が浮かんできた。お星様と一緒に天国に行く場面では、父がにっこりと微笑んでいた。精一杯生きて、人生を全うし、きっとあちらで懐かしい友や姉に出会い、幸せに過ごしているよと、父が本を通してメッセージをくれたように思えた。以来、Draw Me a Star は私にとってもっと大切な1冊となった。
 今年6月半ば早朝、愛犬が静かに息を引き取った。夫、次男と3人で最後を看取ることができたものの、家のあちこちには一緒に過ごした14年の思い出ばかり。朝起きると姿を探し、掃除の際に愛犬の毛を見つけるだけで涙してしまう、まさにPet Loss 状態。
 そんな中、レッスンでORTを読んでいる時、Floppy が愛犬Jess と重なった。今までFloppy はお話の中での1つのキャラクターだったのが、まさに愛犬のように身近な存在になり、どのお話でも一番に探してしまうようになった。 無性にJess に会いたくなり、ORTを読み返してみた。
“Six in a Bed” そうそうよく布団に潜り込んできたなあ。“A New Dog” 彼との出会いを思い返す。ペットショップで半年売れ残り、ゲージで丸くなっていた彼と目が合った夫と三男が連れて帰ってきた。特別に何か芸ができる訳でもなく、shy で怖がりだったが、家族がどんなに癒やされ、いかに大切な存在であったかをあらためて思う。
 “Superdog”の最後に、Floppy がこうつぶやいている。”I’m not a Superdog. I’m just me. I’m just a Floppy old dog who wants a bit of peace.” 我が家の愛犬Jess も晩年はよく寝ていた。寝ながらこんなふうに思っていたのかなぁ。ただそこにいてくれるだけで、Hero であり、Superdog だったよ。ありがとう。Jess ,Rest in Peace.
 今年も私の住む市では、本の帯の募集が始まっている。生徒たちに本の帯を描くのに好きな本を選ぶよう言うと、散々迷った挙句、何度も読み返している本を選ぶ人が多い。読み返す度に違う世界が見えるのだろうか。
 自分自身は、最愛の母や義父を思う本にはまだ出会っていない。きっと出会えるだろう。また違った本の楽しみができた。

しあわせな読み聞かせ、がんばらない多読

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